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先生、いかがお過ごしですか。

今日で先生がいなくなって4年と1ヶ月と3日です。

私が決別する人達が増えてゆく。私は常に降参している。

突き放して頭を強く打つ。しばらく驚く。

精神が白ける。言葉が音だけになって、なにをしても手応えがない。

体の上下が絡まって、ねじれるように苦しい。口を楕円に開いて、根拠のない過去を垂れ流す、私は嘘にまみれてる。

全ての事物が静まりかえって、耳に障る無音に顔をしかめて眠る。

てきとうに開いた本の文章を追ってみる、3行読んではまた初めから、3行、また初めから。

凡庸

生きているのか死んでいるのかはっきりしない木の根を蹴る。応答がないことに安堵する。まるで祈りだ。

私はいくら待っただろう先生を。何度待っただろう。鳴るはずのない板を妄想と共に、何日待っただろう。知っていると解りながら、知らぬと願う。

私は1人でも生きていける。そう言って、もう居ない先生に依存する。もう居ない人に手を伸ばして伸ばした先から折れる。

何人も、何度も。

誰かが履き潰したパンプスを横目に見て、ああ、あれは私のものだと思う。踵が禿げて、先が潰れたパンプス、知っている。あれは私だ。新品の少女が気づいたら娼婦になっていた。それは私だ。

時間の流れに無抵抗に身体を晒す。どこから来たのかもわからない埃がこびりつく、いつからこんなに醜くなってしまったのか。こんなに擦り切れ、剥がれ落ち、どうしようもない傷がつき、ほころび、取り返しのつかない外れ方をしたのか。

それでもなお、なぜ人生を放棄しないのか。それに理由をつける。わたしは捕虜だから、人生の捕虜だから、人生を猶予された囚人だから。だから私は私の意思で死ぬことを許されない。いつその時が来るのかわからないまま、どこにさかいめがあるか知らないまま、私は私を去りつつ一体化する。

お願いだから。もう忘れてください。私のことなど忘れてください。脳裏にもよぎらせないで、でないと、惨めで死んでしまうから。

私は生きるから、それでも生きるから。だからもう許してください。もう充分でしょう、私で遊ぶのはもう満足したでしょう神様。

抵抗できぬ人間に試練を課す遊びをいつまで続けますか。