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誤解が。

誤解が根を張って私の周りを縁取る。 

転移して誇張する誤解、退屈すぎて死んでしまうような部屋で起きるのはいつからだろう。たぶん、ずっと昔から。

富士山は見えなかった。

新幹線はいつも通りに走っていたけれど、私の身体はどこかへ置いてきてしまって。

2時間。

腹回りに特大のブルストを巻いたような男が日本語ではない言葉を話すのを聞く。私には意味不明な表現をする。苦痛を感じる。

足にあっていないヒールで足先がペシャンコになりながら歩くみたいな苦痛。

迷ってはいけない。少しの猶予も残されていない。

足は潰れている。ヒールを脱いだらきっと血まみれで、足の指の骨は無惨に散らばっているだろう。皮はめくれて干上がって、弾丸は砕けて肺にのめりこんで、息が。

過去は複雑すぎて忘れてしまった。

欲しいなら盗めばいい、憎いなら殺せばいい。こんな簡単な動機を忘れてしまっていた、確かにあった、あの確証。

他人など蹴落として、自分だけ這い上がって、阻む手は切り落として、投げられた脚は燃やして。そうやって生きるのが人間らしい生き方だ。自然な息の仕方だと。

狂気じみた謙遜と、道徳から、人はなにも学ばない。

相手の脇腹を刺し気づくことのほうが価値があると。

自分は死ぬに値する人間だと気づくことこそ一生を費やす幸運だと。

だから。何度でも苦渋を、どんな人間よりも卑しく浅ましい人間になろうと、肉体も信じず、天国も信じず、祈りもせず、アブラハムの犠牲に唾を吐き、神が居れば殺して

 

息を吸って死んでやろう。