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大野先生。私の世界が先生を失ってから今日で1年と1週間が経ちました。

私は黙って、一択しかない選択を迫られます。それは時間であったり、環境であったり、私を好いてくれる人であったりします。

昨晩、夢の中で私は先生を手放して、泣きました。久し振りに涙が出ましたが、私はそれを、大丈夫だと。あの時のように言うのでしょうね。

大丈夫です、というのも。あの時先生に何度も執拗に執着し、放ち放置した時の、あの言葉ような。大丈夫です。に、酷く似ています。

しかし、そうすることしか私にはできないのです。それ以外に私に選択肢はないのですよ。わかるでしょう。

私には私を好いてくれる人がいます。その人は私に、愛しています。と言ったんです。

先生とではありえない不可能な関係を、その人は私に求めるのです。

私は努めて好意的な返答をその人にしました。
私はその返答をした後に、先生を思い浮かべました。
その時私は論理を断絶する無意味の横断を実感しました。

きっと、この事をその人に言っても、その人はそれでいいと言うでしょう。それくらい、私を好いているのです。

可笑しいでしょう。私は先生を手放そうとして、あの時の私のように振る舞うのに。
そこに先生は居ないのです。

時間が過ぎます。先生、私はまだ、先生のことを忘れられないようです。

陽性転移はきっと病気です。
そして、私は、大丈夫です。
大丈夫なんです。
あの時の、大丈夫です。

また私を見抜いて、そして、また諦めて、医療の限界だと。