無題

私はいつまで大野先生を抱えて生きていくんだろう。

わかりきったあの手紙に対する答えをいつまで抱え続けるのだろう。

もう終わったんだよ、終わってしまった。終わってしまった成れの果ての陽性転移はいつ風化していつ消えてくれるのか。

先生の顔が背中が離れない。

一言だけでいい気持ち悪いとか無理ですとか、さようならとか。一言だけでいい私を拒絶してほしい。

このまま私は老いていく、あの頃を思い出を会話を私は離すことができずに、時間が経つ。

時間はいつになったら私のこの不毛な問いを解決してくれるのだろう。

この気持ちを文章にして、ただの言葉に成り果てるのを待つのだ。

先生のわかりきった、骨の髄までわかりきった答えを。わたしは待つのでもなく、待たないのでもなく、ただ、抱え込む。

希望などない、もう希望などない。

わたしの中の先生を殺すこともできず、わたしはわたしを殺すことも出来ず毎日先生を思い出しては泣く。陽性転移はわたしには手に負えない。

先生は今どこで何をしていますか、わたしは今ここにいます。先生と話していた頃と変わらずに卑屈で偏ったままわたしは今ここにいます。

先生しか、今のわたしの中にいる先生を殺せないのです。わたしには殺せないのです。

先生、わたしはもう頭がおかしいのかもしれません。助けてください。