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先生の不在からもう3年4ヶ月が経つ。

大野先生に似た男の人を見つけた、一重で薄い顔。髪質も似ている。その人は私のことを好きだと言う。酔った顔で、好きだと言う。

私も酔った、アルコールに酔った。大須の公園で、椅子に座りながら、男の人は私に傅いて、私の足首を触ってきた。

私は私の足首にアルコールをぶち撒けた。

楽しそうに笑う、私は笑った。幸せそうに、可笑しそうに。面白そうに。悲劇を。

私はそれを観ながら、頭の中で言う。大野先生。先生。先生。

男の人の髪を引っ張った。引っ張って、撫でてあげた。

大野先生の髪は、ツーブロックに、長くしたセンターの髪を、後ろで結んであった。

私はその男の人の髪を結ぼうとしたけれど、まだ結べなかった。でも髪をかき上げた瞬間、大野先生に見えた。似ていた。伸ばしたら、大野先生と同じ顔になる。

髪を伸ばして

そう言った、私はその髪型が好きだから。大野先生の面影が好きだから。大野先生に似ているあなたの顔が好きだから。

でもその男の人は背が高かった。大野先生は背が高くない。立って、そう言った。確認したかった。男の人が大野先生ではないか。立って。

この人は先生ではない。別人だった。それに驚いた。

私は別人を愛せるだろうか。先生と同じ部分を作って、酷似させて。それだけを見ていれば、好きだと言える。愛してると言える。私だけを見ていてくれと、情の深い女になれるだろう。

先生。と私は言ってみたい。彼は傷つくだろうか。傷付いたらどんな顔をするだろう。彼の傷付いた顔を見た時の私の顔は、どんな色になるだろう。

私は病気です。でも叶わなくていい、先生への気持ちが叶ったら、私の恋はそこで終わってしまうから。死ぬまで先生を抱えます。それが私の死刑宣告。それが私の幸せです。